機関誌生涯活躍のまち ~ポストコロナ 変わるもの、変わらないもの~
機関誌第37号の特集は、「ポストコロナ 変わるもの、変わらないもの」でした。
前消費者庁長官の伊藤明子さんのお話では、日本人の孤独・孤立の問題について触れられていました。
世帯構成において単身世帯がぐんと増えており、単身者が頼れる人はだれかについての各国の比較では、日本は別居家族がトップで67%(米国56%、ドイツ63%、スウェーデン58%)でした。単身世帯が増えているため、孤独を感じ困っていらっしゃる方が特に多いと考えられるということでした。
また、女性活躍についても書かれていて、地域別の大学進学率では、地域別で見ると東京都の女性の進学率が70%であるのに対して、鹿児島県のそれは半分になっています。国内でもこれだけの違いがあるのは、経済的理由や地方に正規雇用の仕事が少ないなども理由となりますが、「無意識の偏ったものの見方」があるため「ガラスの天井」が生まれるとのことでした。
社会福祉法人 弘前豊徳会の阿保 英樹さんのお話では、青森県弘前市の生涯活躍のまちの事業主体として奮闘されてきた過程について書かれていました。
始める中で見えてきたものが、豊徳会のサ高住「サンタハウス弘前公園」が地域デビュー、エンディング、あるいは福祉の仕事に就く前の準備をする場になるのではないかということだったそうです。そこで地域交流スペースの共有キッチンをコミュニティキッチンやレンタルキッチンとして地域の方に活用してもらる取り組みをスタートするなどを始めました。地域の方に開かれる施設となったことで、施設のイベント等で関わるアクティブシニアの方々からも介護や施設に関する相談をしてもらえるように変わったようです。
昨年は、大学連携の取り組みも進み大学生とサ高住に住む方々とのワークショップを開催したようでした。
この企画を単発で終わらせるのはもったいないと、その後、弘前学院大学のボランティアサークルに属する学生が、事業を継承したいと申し出てくれたようです。このような学生と認知症の進んでいる高齢者との交流の取り組みは、将来福祉の分野で働きたいと考えている学生にとって、とても貴重な練習の機会になるということでした。
自分たちだけで考え成功しようとするのではなく、困ったことを解決するために地域の方々と話し合うなど協働を経てひろがっていく過程がとても素晴らしいと感じました。少しづつ活動が広がり、サ高住のご利用者以外の地域の方々へも価値を提供できる施設となっているのだと思われます。介護関連の施設は地域での担う役割は幅広く、考え方を広げることでより連携が広がり、住民の暮らしやすさの一助となると感じました。