機関誌 生涯活躍のまち ~居住支援について~
今号の「生涯活躍のまち」は、居住支援についての特集でした。
居住支援は、様々な事業で住宅を確保できない方へ、住まいの提供ならびに入居後の支援を行い、暮らしの基盤を整えることが目的となります。
高齢者施設について研究されている、近畿大学 建築学部 教授の 山口健太郎さんのお話は、これまでの福祉建築の流れと今後の展望についてでした。
老人ホームが制度化された1963年の高齢者施設は多床室・大規模処遇型であり、入居者のプライバシーや人権を守ることが難しい形態でしたが、1990年代に全室個室型の特別養護老人ホームが登場しました。自らの拠点が整備されることで落ち着いて生活ができ、個室という空間で生活するからこそ「誰かと会いたい」という思いを抱くようになるとのことでした。
その後、認知症高齢者グループホームの登場により、小規模な施設が地域に点在して整備されるようになりました。高齢者施設は閉じた空間から、地域密着型へと変化していきました。
お話を読み、今後の高齢者施設は、地域の方々により日常的な施設となっていくことを感じました。多様化されますます地域に開かれた空間となることが求められていると感じます。
福岡県大牟田市で居住支援の活動をされている牧嶋誠吾さんのお話では、大牟田市役所において、住宅政策や高齢者福祉政策の推進に最前線で携わられた経験をもとにしたお話が書かれていました。お話から、居住支援を必要とする方々は、住宅だけに限らず、生活困窮や高齢化や認知症など、複合的な課題を抱えているということを強く感じ、分野横断的な取り組みの重要性を知りました。今後さらに人口減少が進むからこそ、行政と民間との協働や、多職種による行動連携がより大切になってくると思いました。
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